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不動産の税金と軽減措置

 不動産にかかってくる税金は、大きく分けて取得時・保有時・譲渡時の3つに分類することができます。取得とは、購入や交換、相続、贈与などによって不動産を得た場合をいい、その税には印紙税、不動産取得税、登録免許税、相続税、贈与税などがあります。取得した後、保有時にかかってくるものに固定資産税、都市計画税、地価税、特別土地保有税などがあります。 譲渡時には個人の譲渡所得税、住民税、法人の場合の法人税、住民税、事業税などがあり、課税は譲渡益が出たときに初めて行われます。本コーナーでは、個人を対象にしたそれぞれの税額や軽減措置および特例についてまとめました。また申告にあたって、軽減や特例を受けるための方法も併せて伝授します。

不動産を買ったとき

相続・贈与を受けたとき

保有しているとき

売却したとき

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所得税(国税)・住民税(地方税)

  個人が所有している土地や建物を売った時の所得(譲渡所得)に課せられる税金。所得税と住民税(道府県民税、市町村民税)がある。

 所有期間によって「長期譲渡所得」と「短期譲渡所得」に分けられる。保有期間が売った年の1月1日現在で5年を超えている場合は長期譲渡所得。5年以内の場合は短期譲渡所得となる。

 

★譲渡所得とは収入金額−必要経費(不動産取得費、譲渡費用等)をいう。

★長期譲渡所得で不動産の取得時期がはっきりしないものは、不動産取得費を譲渡代金の5%とみなして計算します。

 

【特別控除等】
・2009、2010年に取得した土地等は1,000万円(2014年以降の売却より)
・収用等のために譲渡した場合5,000万円
・特定の土地区画整理事業のために譲渡した場合2,000万円
・特定住宅地造成事業等のために譲渡した場合1,500万円
・農地保有合理化等のために譲渡した場合800万円
・居住用財産を譲渡した場合3,000万円
・相続により生じた古い空き家又は空き家の除却後の敷地について、相続以後3年を経過する年の12月31日までの譲渡は3,000 万円《2016年度創設》

所有期間
税      額
軽減措置および適用条件

●短期譲渡所得
 (所有期間5年以内)

●課税短期譲渡所得×税率30% (住民税は9%)
(注) 2013年から2037年までは、復興特別所得税として各年分の基準所得税額の2.1%を所得税と併せて申告・納付することになります。

〔軽減措置〕
 居住用財産の3,000万円の特別控除。(所有期間に関係なく適用)

〔軽減措置の適用条件〕
 現に自己の居住の用に供している家屋およびその家屋と共に敷地を譲渡した場合。
 店舗付住宅については居住用部分についてのみ特別控除を適用。

●長期譲渡所得
 (所有期間5年超)

●特別控除後の課税長期譲渡所得×税率15%(住民税は5%)
(注) 2013年から2037年までは、復興特別所得税として各年分の基準所得税額の2.1%を所得税と併せて申告・納付することになります。

●居住用財産を譲渡
 長期譲渡所得(所有期間10年以上)

●特別控除後の課税譲渡所得が
 6,000万円以下の部分は税率10%(住民税は4%)
 6,000万円超の部分は税率15%(住民税は5%)
(注) 2013年から2037年までは、復興特別所得税として各年分の基準所得税額の2.1%を所得税と併せて申告・納付することになります。

←個人の長期譲渡所得にかかる軽減税率の特例

 買換えの特例の要件に該当しない場合や、置換えの特例を受けない場合。

●優良住宅地の造成等のために土地を譲渡
 長期譲渡所得(所有期間5年以上)

●特別控除後の課税長期譲渡所得
2,000万円以下の部分は税率10%(住民税は4%)
2,000万円超の部分は税率15%(住民税は5%)
(2025年12月31日まで)

●長期譲渡所得
 10年を超え所有し、かつ10年以上居住しているもの。

●3,000万円の特別控除を選択した場合
 上記の長期譲渡所得(所有期間10年超)の課税方法と同じ
●買い換えによる課税繰り延べの特例を選択した場合
 譲渡した居住用財産の収入金額が、買い換え資産の取得価格を上回れば、その部分に対して課税。
 税率は長期譲渡所得(5年超)の課税方法と同じ。他の部分は課税が繰り延べられる。 

●居住用財産の3,000万円の特別控除

●居住用財産の買い換えによる課税繰り延べの特例。
【譲渡金額が1億円以下、
 買い換え資産が土地500
m2以下、建物50m2以上280m2以下】
(2025年12月31日まで)

※上記のいずれか一方を選択。

【軽減を受けるための手続き】

この「特別控除」の特例を受けるには「確定申告書」の2面の「特例適用条文」欄に「措法35条」と記入して「譲渡所得金額計算書」(税務署に用紙があります)および譲渡をした日から2ケ月を経過した日後に交付を受けた譲渡財産所在地の市町村(区)長の発行する「住民票」の写しを添付する必要があります。

譲渡損失の繰越控除制度(住まいを売って損失が出たときの特例)

【特例の内容】

 個人が住まいを売って譲渡損失が生じた場合は、その損失額を売却した年の所得から差し引くことができます。

 譲渡損失の金額のうち、他の所得と損益通算をしても、なお引ききれない金額については翌年以降3年間に渡って繰り越すことができます。 適用期限は2027年12月31日まで

【適用の要件】

1・対象となる譲渡資産
 譲渡年の1月1日において所有期間が5年を超える居住用家屋およびその敷地など。

2・対象となる買替資産
・自己の居住用家屋(床面積50u以上)およびその敷地。
・譲渡年の1月1日から翌年12月31日までの間に取得して、取得日かその翌年12月31日までの間に自己が居住すること、または見込みであることが必要。
3・住宅借入金等の要件
 繰越控除の適用年の年末において買替資産の取得に係る一定の住宅借入金等があること。
4敷地に係わる譲渡損失の金額
 敷地が500uを超える場合、その超える部分に対する譲渡損失の金額は、繰越控除の対象とならない。

5・その他
 繰越控除の適用を受けようとする年分の合計所得金額が3,000万円以下であること。住宅ローン減税との併用可。

【申告の方法】

「確定申告書」に、その住居用財産の譲渡損失の金額の計算に関する明細書、そのほか所定の書類を添付して税務署に提出。その後の年においても連続して確定申告書(繰越控除を受ける金額の計算に関する明細書が添付されたもの)を提出します。

なお添付する所定の書類は、税務署でお尋ね下さい。

 

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