●専任媒介契約
(依頼者⇔業者)
「この家を売ってほしい。ただし貴社以外には依頼しません」
業者は成約に向けて積極的に努力する義務が課せられ、さらに国土交通大臣が指定する流通機構への物件登録を行うことで広く契約の相手方を探します。依頼者に対しては2週間に1回以上、業務の処理状況を文書で報告します。一方、依頼者は他の業者に併せて依頼することはできません。もし他の業者によって契約を成立させた場合は違約金を、依頼者が自ら見つけた相手方との成約については、業者に対してその媒介契約の履行のために要した費用を支払うことになっています。
●専属専任媒介契約
(依頼者⇔業者)
「この家を売ってほしい。ただし貴社以外には依頼しません。私が買主を見つけたときも貴社の媒介により売却します」
成約に向けての積極的努力が義務づけられているのは専任媒介契約と同様ですが、この場合は依頼者に対して1週間に1回以上、文書で状況報告をしなければなりません。また国土交通大臣が指定する流通機構に、この契約日から3日以内に登録することが義務づけられています。依頼者は他の業者に重複依頼することができないほか、自ら相手を見つけて売買することは禁止されています。義務を怠ったときは、業者に対して違約金を払わなければなりません。
●一般媒介契約
(依頼者⇔業者)明示型の例
「この家を売ってほしい。ただし○社にも依頼しています」
一般媒介契約には、業者名を明かす明示型と明かさない非明示型があります。依頼者はいくつかの業者に併せて依頼することができるのですが、明示型の場合はその業者名を通知することが義務づけられています。また、他の業者の媒介による契約や、自ら見つけた相手方との契約が成立したときは、依頼した全業者に報告しなければなりません。これを怠った場合、業者に媒介契約の履行のために要した費用を払うことになります。
以上3つの媒介契約には次のような共通点があります。
1・契約の有効期間は3か月間。(依頼者の申し出により更新できます)
2・業者が媒介の依頼を受けた不動産の価額について意見を述べるときは、取引事例と比較するなど合理的な方法でその根拠を示さなければならないなど。
売却時にかかる諸費用・税金
■所得税・住民税
不動産を売却して得た利益は「譲渡所得」と呼ばれ所得税(国税)と住民税(地方税)がかかってきます。譲渡所得は、売却価格から、購入したときの費用(購入代金や購入時の諸費用)と売却時の諸費用を引いたもので、マイナスなら所得税・住民税とも不要。利益がでれば不動産の所有期間に応じて納税の対象となります。
所有期間が売った年の1月1日現在で5年を超えている場合は、長期譲渡所得。5年以内なら短期譲渡所得となり税率が異なります。
居住用の不動産を売却した場合は、譲渡所得が3,000万円までなら特別控除によって無税になります。
ただし、この特別控除を受けるには確定申告をしなければなりません。
確定申告書の2面の「特例適用条文」欄に「措法35条」と記入して「譲渡所得金額計算書」(税務署に用紙がある)と「住民票」の写しを添付する必要があります。
■印紙税ほか
買主と売買契約を結ぶ際には、契約書に貼る印紙税が必要です。売却代金が1,000万円〜5,000万円までなら10,000円。
また所有物件にローンが残っていれば、ローンを完済するための手数料や抵当権を抹消するための登記費用などがかかります。
■業者への仲介手数料
売買契約が成立したとき業者に支払う報酬額は、国土交通大臣の定める額(上限)で次の計算方法で求められます。
また報酬に消費税がかかる場合は、上限額に消費税相当額を加えた額が上限となります。計算の基礎となる取引代金の額は、消費税を含まない本体価格です。
【計算方法】
物件価格が200万円までの部分を5%。200万円〜400万円以下の部分を4%。400万円を超える部分を3%として計算します。
★仮に売買価格1,000万円の物件の場合は
●0〜200万円…5%(10万円)
●200〜400万円…4%(8万円)
●400〜1,000万円…3%(18万円)
10万円+8万円+18万円=36万円(上限)となります。
また物件価格が400万円を超える場合は次の簡易計算式で求められます。
物件価格×3%+6万円=報酬額(上限)
課税業者の場合は、報酬額に消費税5%が加わります。この報酬額は、売主と買主の双方がそれぞれ媒介した業者に支払うものです。
なお直接依頼した業者以外に別の業者が入っている場合がありますが、業者が何人入っていようと報酬額は変わりません。直接依頼した業者に報酬を払えば、あとは業者同士で分配するようになっています。