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縁辺

浜松市の
市街地縁辺集落制度をみる

(不動産だより2009.6月号掲載)


指定区域内なら誰でも土地を買って家が建てられる

 大規模既存集落制度の見直しと合わせて、特に注目を集めることになった「市街地縁辺集落制度」も、平成21年4月1日から施行された。
 「市街地縁辺集落制度」は、縁辺集落のうち、道路幅員(専用住宅:4m以上、専用住宅以外:6m以上)、下水道利用などの一定の要件を満たせば誰でも専用住宅、併用住宅、共同住宅を建築できるという制度。
 大規模既存集落制度のように、対象者(申請者)に関する要件がないので、市街化調整区域であっても指定区域内(図参照)なら、だれでも土地を購入して住宅を建築することができる。
 制度の創設にあたって浜松市では、環状線および国道152号線から都市計画道路浜北馬郡線内の市街化調整区域を環境調和居住ゾーン(田園居住エリア)として位置づけ、市街化区域と同等状況にある集落の規制を緩和。道路や下水道の整備状況、農業振興策との調和が取られている地区は、建築規制の理由が希薄として20ha以上の面積を有する区域を「市街地縁辺集落」に指定した。


居住系に特化すれば併用住宅や共同住宅もOK !

 ただし、建築可能な用途については、隣接する用途地域と一線を画すため居住に特化したものとして制限している。このため工場などの工業系の建築はできないことになっている。
 市街地縁辺集落の建築許可基準は表のとおりだ。
 表を見れば、一般的な市街化調整区域と比べて建築の機会について緩和されているのが分かる。申請者の制限がないほか建物については、専用住宅、店舗や事務所を兼ねた併用住宅、アパートなどが建築できる。
 反面、建物の高さ制限や前面道路幅、敷地面積の上下限、敷地形状制限がついていることから、一般的な市街化区域と比べると、土地の利用形態上の規制が厳しく設定されているのが分かる。
 土地の要件では、市街地縁辺集落内であれば農地でも建築が可能だ。ただし、農地に建築するには「都市計画法の許可」や、農地を宅地に転用する「農地法の許可」(各農業委員会事務局が担当)が必要となる。この二つの許可を得てはじめて建物を建てることができる。

住宅を建てるには建築許可申請と農転許可が必要

 土地の売買では、前面道路幅や敷地面積などの基準を満たした土地であれば、誰でも土地を買って住宅を建てられるが、農地は本来、所有権移転が制限されているので、既存集落制度の許可や農地転用の許可と同時でないと所有権移転はできないことになっているので注意が必要だ。
 農地を購入して住宅を建てる場合は、まず都市計画法第43条の建築許可の申請を行なう。建築許可と同時に農転許可を得て、その後建築確認申請を行い、承認後工事に着手。建物完成後は転用事実確認をもって法務局に地目変更届けを行なう。

地価の値づけは手探り状態!市場動向に注目

 不動産会社などの業者から仲介などによって土地を購入する場合は、購入時に特約付きの売買契約を結ぶと安心だ。買主は“建築許可等が下りなければ契約を白紙撤回する”という内容の特約でリスクを回避することができるだろう。
 いずれにしても、市街地縁辺集落は浜松市内のかなり広範囲に及び、今後は土地の売買に向けた動きが活発化してくることは間違いない。土地の値付けにあたっては、まだ取引事例が少ないだけに手探りの状態だが、今後は市場の動向を見ながら値付けが進んでいくものと思われる。集落内は利用上の制約があるだけに、用途地域内の土地とは一線を画した値付けになっていくことだろう。
 大規模既存集落制度と市街地縁辺集落制度については、浜松市のホームページで公開している。HPにはそのルールについて、「市街化調整区域における開発許可制度」の運用基準、開発許可制度(既存集落)の見直し、および「開発区域を定める条例」の項目などがあり、詳細をダウンロードできるようになっている。

●浜松市ホームページ:
「市街地縁辺集落制度」について詳細は
こちら

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